在宅介護サービスには、大きく分けて4種類があります。
訪問サービス、通所サービス、短期入所サービス、それ以外のサービス、です。
この4種類の中でさらに細かくタイプが分かれます。
ここでは、特に利用されることの多い在宅介護サービスを10タイプ選んでご紹介します。
自宅にいながら介護を受けられる「訪問サービス」
訪問サービスは、要支援・要介護者が、自宅に居ながら、介護サービスの提供を受けられます。
具体的な内容は、生活援助として買い物、掃除、洗濯など。身体介護として食事や入浴、排泄などがあります。また、看護として健康状態の管理、療養環境の確認・改善などやリハビリテーションなどもあります。
1.訪問介護
介護職員が自宅を訪問し、生活援助および身体介護を行います。
生活援助には、次のようなものがあります。
買い物の代行、掃除、洗濯、調理、ゴミ出し、ベッドメーキング、衣類の整理、薬の受け取りなどです。
ここで注意点を。これらの援助は、あくまでも“利用者本人”への援助なので、家族の洗濯や調理をついでにしてもらうことはできません。
身体介護には、次のようなものがあります。
食事、入浴、排泄の介助(おむつ交換なども含みます)、着替え、清拭(身体を拭くことです。「せいしき」と読みます)、洗顔や歯磨き、体位変換介助(褥瘡(じょくそう)予防のための介助です。褥瘡とは「床ずれ」のこと。長時間寝たきりになると身体の一部分が圧迫されて血流が悪くなり、組織が壊死することがあります)、服薬などです。
身体介護は、主に利用者の身体に直接触れて行うサービスです。
2.訪問入浴介護
巡回入浴車で自宅を訪問し、移動式の簡易浴槽を持ち込んで入浴サービスを行います。巡回入浴車の車内で行う場合もあります。
看護師と介護職員がスタッフとして訪問します。
対象者は、寝たきりで自宅の浴槽に入浴が困難な在宅の要介護者です。
最初に、看護師が血圧や体温測定などの健康チェックをした上で、入浴介助を行います。
3.訪問看護
看護師や保健師などの医療スタッフが自宅を訪問し、医師の指示に基づく医療処置などを行います。
訪問看護で行われる医療処置には、次のようなものがあります。
呼吸・体温・脈・血圧など健康状態のチェック、病気経過の観察(病気がある場合)、服用している薬の管理、使用している医療器具の管理、感染予防、点滴、褥瘡(じょくそう)の予防や手当、リハビリテーションなどです。
4.訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士などが自宅を訪問し、医師の指示に基づいてリハビリテーションを行います。
訪問リハビリテーションでは、理学療法士が身体機能の維持を、作業療法士が日常生活をおくるための生活機能の維持を目標としてリハビリが行われます。
日帰りで介護施設に通う「通所サービス」
通所サービスは、要支援・要介護者が施設に通い(ほとんどの利用者は送迎されています)、日帰りのサービスを受けます。
主な介護として、食事や入浴、排泄などがあり、高齢者向けのレクリエーションも行われます。また、看護としては、健康状態の管理、リハビリテーションなどがあります。
5.デイサービス(通所介護)
介護を主としたサービスです。特別養護老人ホームなどが行っています。
内容としては、食事や入浴、排泄などの介護、簡単なリハビリ、レクリエーション活動、趣味の活動、季節に応じた行事などがあります。
6.デイケア(通所リハビリテーション)
医療を主としたサービスです。介護老人保健施設、病院、診療所などが行っています。
医師の指示に基づいて、理学療法、作業療法などのリハビリテーションを受けることができます。
介護施設に一定期間だけ宿泊する「短期入所サービス」
短期入所サービスは、決められた施設に要支援・要介護者を、一定期間受け入れるサービスです。
介護として、食事や入浴、排泄などがあります。また、看護としては、健康状態の管理、リハビリテーションなどがあります。
家族が、数日間外出する際などに利用することが多いでしょう。
7.ショートステイ(短期入所生活介護)
特別養護老人ホームなどの福祉施設で、介護を受けながら一定期間、日常生活をおくることができます。
8.ショートケア(短期入所療養介護)
介護老人保健施設や介護療養型医療施設などの医療機関で、一定期間、日常生活をおくることができます。
ショートステイとの違いは、介護以外に医療サービスも受けられることです。
「その他のサービス」〜ケアマネージャーによるケアプラン作成
今までに挙げたサービスを受けるためには、ケアマネジャー(介護支援専門員)にケアプランを作成してもらう必要があります。
実は、このケアプラン作成、介護する家族が作成してもよいのですが、現実的ではありません。
一旦作成しても、高齢者の状態は時間がたつにつれて変化していきます。その変化に対応していくには専門的な知識がいるのです。
ケアマネジャーは、ケアプランの作成だけでなく、介護に関する相談から手続き、状態の変化に対応する調整などをサポートしてくれる心強いプロです。
介護保険サービスを受ける入り口として、まずはケアマネジャーにケアプランを作成してもらいましょう。
9.ケアマネジメント(居宅介護支援)
指定居宅介護支援事業者が行います。
要介護者の介護サービスを円滑に利用できるよう、次のような支援を行います。
要支援・要介護認定の申請の代行、ケアプランの作成、サービス事業者との連絡調整など、施設へ入所が必要となった際に適切な施設への紹介を行うなどです。
10.居宅療養管理指導
医師、歯科医師、看護師、薬剤師などが自宅を訪問し、療養上の管理及び指導を行います。
医療による管理及び指導が必要とされる要介護者に対しての支援です。
医師は、医学的管理指導。歯科医師は、歯科医学的管理指導。薬剤師は、服薬の管理、薬の副作用の説明などを行います。
以上、どのサービスも家族の介護負担を軽減することはできますが、とりわけケアプランの作成は重要だと言えます。
高齢になれば誰でも経験することですが、身体のあちこちが痛んだり、若いときには考えもしないことで怪我をしたり、病気になったりします。
トイレに行って用を足す、浴槽に足を上げて入浴する、2階の洗濯干場に洗濯物を干す、近所のスーパーに買い物に行くなど、健常者には当たり前のことができなくなります。
このような要支援・要介護者になった場合、適切な在宅介護を受けるためには、ケアマネージャーがプロとして介護と医療の両面から作成したケアプランを実行してもらうことが不可欠となるのです。
日本は「超高齢化社会」の時代を迎えている
2017年現在、日本は超高齢化社会を迎えています。65歳以上の人口が21%を超えると“超高齢化社会”と呼ばれますが、すでに23%を超えています。
18年後の2035年には、人口の30%を超えて、日本人の3人に1人が65歳以上になると言われています。
介護施設や病院だけでの介護や看護は不可能な状態です。
国は、在宅介護に舵を切るために、平成12年に介護保険をスタートさせました。
介護保険では1割の自己負担で介護サービスが受けられます。対象者としては「65歳以上の高齢者」と「40歳から64歳までの特定疾患の患者」です。
また、介護保険が適用されるには、要支援か要介護と認定される必要があります。
そして認定後、サービスを受ける人は、要支援者または要介護者と呼ばれます。
在宅での介護には、介護保険によるサービスが欠かせません。
介護で大切なのは「頑張りすぎないこと」
在宅介護をする家族にとって大切なことがあります。
それは、「無理をしないこと」です。別の言い方で「頑張りすぎないこと」と表現してもいいでしょう。
真面目で愛情がある人ほど「自分が頑張って親を介護しなくては」と力んでしまいがちです。その結果、身体も心も疲れてしまい、介護者が心身ともに病んでしまったりすることがあります。
そうならないように、具体的な介護サービスを知ることが大事です。
自分ひとりで抱え込まないよう、ここでご紹介した介護サービスを上手に利用し、協力者を増やすことで、少しでも介護の負担を減らしましょう。
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