リフォームと建て替え〜どちらが良いかはケース次第

家族に要介護者が出た時、貴方ならどうしますか?
考えられる選択肢は主に3つあります。

  1. 介護施設に入所する
  2. 住んでいる自宅の必要なところをバリアフリーリフォームする
  3. 今住んでいる家を取り壊し、バリアフリーの家に建て替える

介護施設に入所する、と言っても要介護度によっては受け入れてもらえない場合もありますし、大抵の施設は入所待ちの時間がかかります。では、自宅での介護をする場合はどうでしょう?

要介護者の半数近くが、自宅もしくは家族の家で介護を受けることを望んでいるそうです。とは言え、自宅での介護となると、住居のバリアフリー化が必要不可欠と言えます。

そこで迷うのが、必要なところだけをリフォームするのと、家全体を建て替えて全面バリアフリー化をするか、ということです。
これは、家族の要介護度や敷地、予算、建築法、住宅の耐久性など、様々な要素によってその選択が左右されるでしょう。

介護保険を使える!〜リフォームの場合

まずリフォームの場合ですが、1番のポイントは介護保険が使える可能性が高い、ということです。介護保険の住宅改修サービスを利用するには、次の様にいくつかの条件があります。

  • 介護保険で要介護もしくは要支援の認定を受けている
  • 手すり、スロープの設置、トイレを洋式に変える、床を滑りにくくするなど、あらかじめ定められた項目に該当する
  • 担当のケアマネージャーに相談し、業者が見積もり後、住宅改修プランを作成していること。
  • 決められた様式で居住地の市区町村役所に申請をして認可が下りていること
  • 工事総費用が20万円以内であること(一人につき1件1回のみ)
  • リフォームの場所が主に居住する住宅であること

介護保険を使うことができれば、自己負担は総費用の1割もしくは2割ですみます。介護保険の対象外の工事を頼んだ場合、その分は全て自己負担となってしまいますが、給付金分の自己負担の費用が抑えられるのは、嬉しいものです。

リフォームを選んだ際の問題点は、住宅の老朽化によって耐久性が低いと、せっかくリフォームしても維持できない可能性があることです。かなり老朽化が進んでいる場合は、リフォームよりも建て替えた方が良い場合もあります。

まっさらな状態から全てが新しく便利に〜建て替えの場合

自宅の建て替え

取り壊して建て替える間、家族が住む仮住まいを用意しなくてはならないなどの面倒はありますが、生活動線などを参考に一から新しいものを作れるというのは、それだけでワクワクするものではないでしょうか。

新しい設備を見ては、これが良いのではないか、こっちも良いかもと家族皆でいろいろ話し合うのも楽しい時間に違いありません。

介護保険は対象外!条件に合えば給付金が貰える場合も?!

リフォームと違い、建て替えの場合は介護保険の住宅改修サービスは利用できません。代わりに、「すまい給付金」を受け取ることができる場合があります。

すまい給付金とは?

消費税率引き上げによる住宅取得者の負担をある程度緩和するために創設された制度です。(平生26年4月からスタート。平成33年12月まで)

  • 床面積が50平方メートル以上であること
  • 施工中に第三者の検査を受けている(例:住宅瑕疵担保責任保険加入住宅)
  • これに加えて、住宅ローンを利用しない、現金取得者の場合は更に条件が追加されます。
  • 住宅取得者の年齢が50歳以上
  • フラット35S の基準を満たしていること(高齢者等配慮対策等級が3以上など)

夫婦でそれぞれ受け取れる?!最大30万円まで

持ち分を共有していれば、配偶者も給付金を受け取ることができます。
例えば、

  • 夫(年収450万円で持ち分3/4)は15万円給付
  • 妻(専業主婦で持ち分1/4)は7.5万円給付

この場合の年収は額面収入ではなく、都道府県民税の所得割額になります。
実際の給付額はその時の消費税率と、この所得割額から決定します。

工事完了から1年以内(H29年4月現在、1年3ヶ月以内に延長中)にすまい給付金事務局に申請する必要があります。住宅ローン減税と併用も可能ですので、条件を満たしているようであれば、ぜひ申請するべきです。

詳しくは、国土交通省すまい給付金を参照して下さい。

建て替えができない土地がある?!

現在家が建っていても、解体して更地にしてしまったら新たな家を建てることができない土地があります。「再建築不可物件」と言って、その土地が道路に面していない、もしくは4m以上の道路に2m以上接している必要があるという決まりがあります。このような土地の場合は建て替えができないため、改築するしか方法がないようです。

他にも、建ぺい率や容積率から建て替え・改築が難しいケースも存在します。
例外もあるようですから、気になる方は専門家に聞いてみると良いかもしれません。

過保護にならず、できることは自分で

介護リハビリ
「楽にはなるけれど、弱らせることにもつながる」

これは実際に母親の介護をしているCさんの言葉です。
Cさんの母親は、寝たきりではありませんが、歩行はよちよち歩きのため、家の外では車イスを使っています。おむつも着用しており、主に入浴などの介助の為に週に4日ヘルパーさんを頼んでいるそうです。

「今、母親と同居する新居を建てているところです。介護のための建て替えという目的もありますが、そういったことは最低限しかしていません。結局この家に住むのは私たちの方が長いんですよね。要介護の母親を中心とした家づくりでは、後々使い勝手が悪くなると思うんです。ですから、気配が感じられるように、母親の居室をリビングの横にしたことと、ベッドを常設して洋間にしたくらいです。」とCさん。

室内の手すりなどは、将来自分たちも使えそうなものだけ、入居後の改修で介護保険の改修サービスを利用するつもりだそうです。
また、車イスが室内でも通れるように廊下の幅を広くすることも考えたそうですが、それだとよちよち状態でも歩ける母親が歩きづらくなる、という理由で従来の幅のままにしたそうです。

布団からベッド、徒歩から車イス。
確かに要介護者も、介護をする家族も楽になるでしょう。しかしその分要介護者の身体はより弱っていく。だから、あまり過保護な家は建てない方が良い、とCさんは思ったそうです。

絶対にやってほしいのは「室内温度差をなくすこと」

「高齢になると、体温調節の機能が落ちてくるんです。浴室やトイレなどでヒートショック(温度差)による血圧の急激な変化が原因で、脳貧血や脳梗塞を起こす危険性が高くなります。ですから、介護のために住環境を整えるのであれば、必ず室内温度差をなくすようにして欲しいです。」というのは、福祉住環境コーディネーターのNさん。

浴室のリフトや、階段の自動昇降機など、介護のために良かれと思ってつけた設備でも、結局要介護の家族が施設へ入所してしまい、あまり使わなかったという話は珍しくはないようです。

介護の基本理念は「できることは自分でさせる」というのが主流になってきています。家族のためとはいえ、過敏になりすぎての極端な対応工事は、慎重になった方が良いかもしれません。

介護において正解はひとつではありません。リフォームでも建て替えでも、要介護者と介護者が共に快適に過ごせるように、家族でしっかり話し合い、自分たちにあったプランで進めるのが一番と言えるでしょう。

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